一兵卒の意味や使い方とは?現代と過去では意味が違う?





「すべてをゼロにして、一兵卒として出直します」
日本相撲協会にて騒動になっている一連の暴力事件で、完全に孤立をしている貴乃花親方は報道陣の前でこのような発言しています。
貴乃花親方の使った「一兵卒」とは一体どのような意味なのでしょう。

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一兵卒の意味

一兵卒のとは「一兵士」や「下積み任務に励む者」という意味です。
読んで字の如く兵士を指す言葉ですから、もともとは軍隊の兵士を示すことばであったことがわかります。
指示・命令を下す上官ではなく、忠実に与えられた任務を粛々とこなす。まさに軍隊の中の名もなき下級兵士です。会社でいう一般社員でしょうか。
よく組織の歯車の一部と言いますが、上官や会社でいう経営者は歯車を動かす頭脳です。頭脳からの指示は動力源を介して歯車が回ると考えれば、動力源は中間管理職で、動力に従って回るのが歯車となる下級兵士や一般社員となるのではないでしょうか。

「一兵卒」の使い方

では、どのようなシーンで使うのでしょう。
簡単な例文を紹介します。

●一兵卒側からの言葉
・一兵卒の私には会社の経営について意見を述べる立場にありません。
・一兵卒として、会社の方針に従い、職務を全うする所存です。
・たとえ一兵卒の立場であっても、こんな理不尽な要求には応えられない。

●上官(上司)側の言葉
・一兵卒のお前に組織の方針をあれこれ言われる筋合いはない。
・偉そうなことを言うな。一兵卒である立場を弁えろ。
・一兵卒として、末端の仕事を全うしてほしい。

現代では、人権擁護や、会社でもパワハラ防止・働き方改革などで、個人が尊重されていますので、前述したように、あえて謙った使い方をしている人が多いように感じます。
なので、上官(上司)から部下へ一兵卒という言葉を使うことはないように思います。

部下の立場ですと、一兵卒という言葉を利用した皮肉めいた発言や無理な仕事を断る言い訳に使うのも良いかもしれません。
またお悩みの絶えない中間管理職の皆さんは、部下とともに部長や取締役から無茶振りをされた際に部下とともに「俺ら一兵卒は会社の上に指示に従って、嫌なことでも力を合わせてやっていこうな」というような共に励まし合うような時に使うと良いでしょう。

また、それなりの立場や地位にある方でも、自分を謙ったり、もしくは皮肉めいた意味で使う場合もあるかもしれません。
「負けるが勝ち」という言葉もありますが、相手が偉そうな態度や言葉をかけてくる時など、口論になっても面倒なので、「自分はただの一般社員なので」という感じで使う人もいるでしょう。

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変化する時代の一兵卒

昔の軍隊では上官の命令に忠実に従い理不尽な要求も粛々とこなしていましたが、現代社会では例え一般社員でも個人の能力が高かったり、発想やアイディアが独創的であったり、専門知識があったりと、ただ指示に従って業務をこなすという時代は終わりました。企業側も指示待ち社員ではなく、自分で考え行動する人材を求めています。

そうなると、冒頭に申し上げた「一兵士」や「下積み任務に励む者」ということ自体ないのかもしれません。
作業系の仕事に従事されている方は決められた工程や手順に従って仕事をしていますが、ルールや規格に逸脱しない範囲で効率化や改善に取り組んでいる方が大勢います。
そう考えると現代では組織のどこに一兵卒いるのかという時代になってきました。

誰もが一兵卒である

人はそれぞれ、色々な役割を持って日々の生活を送っています。会社員は自分の部門の仕事、個人事業主は自分のお店にくる方へ商品を販売する。主婦だって家族のため、学生は勉強するため、お年寄りだって町内会や地域のためなど役割を持っています。
そういう意味でいくと皆がそれぞれの立場で一兵卒ではないでしょうか。

経営者だって会社を運営する立場での一社員、末端で作業をする方々とは内容が違いますが、それぞれの役割が欠けると会社は機能しなくなります。

主婦だって掃除や洗濯、ご飯支度をしなければ家族が安心して会社や学校に通えなくなります。
「一兵士」、「下積み任務に励む者」とはそれぞれの立場での一兵士、下積みであると認識して謙虚に取り組んでいく必要があります。
「経営者として下積みである」、「上司としてまだまだである」、「専門職として業務に励んでいる」など、自分の置かれた状況において、一兵卒であることを知り、下積み任務であると日々の仕事に励むのがよいのではないでしょうか。

最後に 一兵卒をポジティブに使う。

一兵卒という言葉は、あまり良い意味で使われることのない印象にあると思います。
しかし、このように考えて使うことができれば、とてもポジティブな意味を持って周りと協調して一体感を出せるかもしれません。
普段あまり使わない言葉ではありますが、言葉の意味や使い方を知ることで、発言内容に幅や深さが出ます。
本質的に人として大事なことを忘れがちな時に「すべてをゼロにして、一兵卒として出直します」というのも良いのかも知れません。

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