小学校で習うことわざのひとつに「ぬかにくぎ」という言葉があります。大人になるとテレビのコメンテーターが良く使う常套句でもありますが、イザどういう意味か説明してと言われると頭を抱えてしまう方も多いのではないでしょうか。
間違えやすいぬかにくぎの正しい意味と使い方をご紹介します。日ごろの会話に役立ててくださいね。
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ぬかにくぎとは?
ぬかにくぎとは「何の効き目もないこと」「手ごたえを感じないこと」「サッパリ効果があらわれないこと」の意味があります。一生懸命頑張っているのに、その対価と反比例するように物事がうまく進まないことを示しています。
良い意味か悪い意味かで聞かれたら、どちらかというと悪い意味の言葉として使われることが多くなっています。
同義語
ぬかにくぎと同じような意味の言葉として「のれんに腕押し」「馬のみみに風」「柳に風」「豆腐にかすがい」などの言葉があります。どれも一度や二度聞いたことがあるフレーズなのではないでしょうか。
語源は?
稲を精米するときに、生まれるのがぬかです。現代の暮らしでは直接のぬかをあまり見たことが無い方が多いものの、漬け物をつけるときの「ぬか」なら、何となくイメージできる方もいるかもしれません。茶色いぬかは小麦粉のように柔らかくサラサラしています。この砂のようにサラサラしたぬかに、いくら釘を打ってもまっすぐ打つことはできません。
どんなに時間をかけても、一向に効果や手ごたえを感じることはありません。
そのような様子から「ぬかにくぎ」とは全く意味のないこと、効果があらわれないことを示すようになったと言われています。
この言葉が生まれるようになったのは江戸時代ころと言われています。お米が唯一の栄養源でもあった江戸時代。日常生活としてぬかを利用することは多く、稲を精米するときにできるぬかは色々なシーンで使われていたようです。漬け物をつけるとき・着物を洗うとき・顔のお手入れをするとき…江戸の暮らしに欠かせないのがぬかだったのですね。
日常の何気ないひとコマから生まれた「ぬかにくぎ」。江戸時代からたくさんの月日が流れた今でも「ぬかにくぎ」は私たちの暮らしに欠かせない言葉となっています。
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京都のいろはかるたにも掲載されていた!
京都のいろはかるたという和歌集にも、ぬかにくぎは掲載されています。京都のいろはかるたは、文字通り47枚のカードに京都らしい京の文字を加えたかるたのこと。江戸時代から親しまれている余興のひとつで、京都の町ではかなり長い間親しまれてきた歴史があります。このいろはかるたに掲載されている言葉には「ほとけの顔も三度」「地獄のさたも金しだい」「立て板に水」「笑う門には福来る」「縁の下の力持ち」などの有名なことわざがあります。
現在ではお正月を中心に楽しまれている子ども向けの遊びですが、一部の愛好家たちの間でもちょっとした話題になっているいろはかるた。ぬかにくぎなどの楽しい言葉が織り交ぜられているため、興味のある方は一度いろはかるたを購入してみても面白いかもしれません。遊びの延長で日本由来のことわざに触れることができます。
使い方や例文
ぬかにくぎの語源がわかったところで知りたいのが、その使い方です。
・新入社員にいくら小言を言っても、相手にしてくれない。今どきの社会人は、ぬかにくぎだね。時間がもったいないね。
・夏休みに入ってからうちの子どもはゲームばかり。さっさと宿題を済ませるように伝えてあるのに、全くやる気が見られないわ。ぬかにくぎとは、まさにこの事ね。
・英語を習いたいという子どもに、英会話の教材を買ってきて与えてみたわ。最初のうちはやる気があったのに、今では見向きもしない。期待していたけれども、ぬかにくぎだったわね。
・口うるさい妻にもっと優しくするように伝えてみたけれども、スル―されてしまった。ぬかにくぎだったな。
・犬の散歩をしている人が多いので「ペットの糞は持ち帰るように」張り紙を出してみたけれども一向に効き目が無かったよ。現代人にはぬかにくぎだね。
・政府の不祥事で一気に内閣支持率が落ちたそうだ。けれどもその後の野党のスキャンダルで一気に状況は舞い戻った。ぬかにくぎの様相だね。
・家事を手伝わない夫に「やって欲しい家事リスト」を渡してみたわ。3日坊主で終わってしまったから、ぬかにくぎだったわね。
・消費を拡大しようとプレミアムフライデーを発足した。けれども消費効果は一時的でぬかにくぎだった。
まとめ
江戸時代に生まれて現代でも親しまれていることわざのひとつ「ぬかにくぎ」。その意味としては効果が全くないこと、手ごたえが得られないこと…などの様子をあらわしています。一度しかない人生、どうせならやりがいと生きがいを感じられる毎日でありたいもの。
「あの人は何を言ってもぬかにくぎだ」と他人から笑われてしまわないように、日々精進していきたいものです。
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